ご挨拶

2017年10月22日、衆議院議員選挙と最高裁判所裁判官国民審査が行われました。アメリカに居住していた谷口とブラジルに居住していた永井は、それぞれ在外選挙に行きました。しかし、投票できたのは衆院選挙のみで、国民審査はできませんでした。なぜ憲法で国民に認められている国民審査権を、海外に在住していると行使できなくなってしまうのだろう、これは憲法違反なのではないか、私たちは疑問に思いました。

少し前まで、海外在住者は、国政の選挙についても制限的にしか認められていませんでした。これに対し問題提起をし、裁判を起こした人たちがいました。それを受けて2005年に最高裁判所で違憲判決が出ました。その結果、海外在住者も国内居住者と同様の選挙権を行使できるよう公職選挙法が改正されました。しかし、調べてみると、衆議院選挙と同時に行われる最高裁裁判官国民審査について定めた国民審査法は改正されず、海外在住者から国民審査権が奪われた状態が続いていることがわかりました。

実はこのことを疑問に思った海外在住者たちが、2009年に行われた国民審査について裁判を起こしていたこともわかりました。2011年に東京地裁でその訴えに対する判断が出ています。その内容は「憲法適合性について重大な疑義があった」が、未だその状態を是正するのに必要な「合理的期間内」であるというものでした。それからさらに8年が経過しています。

私たちは、最高裁裁判官の国民審査権という、憲法によって国民に認められた民主的コントロールに直結する権利が奪われ、かつ、その問題が長らく指摘されていながら是正されることなく放置されているということは大きな問題だと考えました。そして問題意識を共有する吉田京子弁護士、塩川泰子弁護士、小川直樹弁護士、井桁大介弁護士たちの協力を得て、外国に住んでいるだけで国民審査権を行使できないことに疑問を持つ仲間と共に違憲訴訟を提訴することを決意しました。この訴訟は、新たな憲法判例を作り、日本の民主主義を一歩前進させるものになると私たちは信じています。

2017年11月27日 呼びかけ人 谷口太規・永井康之

お問い合わせ先
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町2-7第6東ビル901 高野隆法律事務所 気付
在外日本人国民審査権確認等請求事件・弁護団事務局 弁護士 吉田京子
03-5825-6033 yoshida@takanolaw.jp