第3回期日が開かれました

2018年11月1日(木)午前11時30分から、東京地方裁判所703号法廷で第3回口頭弁論期日が開かれました。

前回期日の直後に私たちは、国がこれまで主張してきた「技術的不能」論に対する追加の反論書面を原告第2準備書面として提出し、本期日でこれを陳述しました(同書面の意義はこちら)。また、それに関連する証拠を提出しました。

国は、前回期日で陳述した原告第1準備書面および上記に述べた原告第2準備書面に対し全般的に反論する、被告準備書面(2)を陳述しました。また、それに関連する証拠が提出されました。

 

国は、この準備書面の中で、2016年法改正後でも(審査に付される裁判官の名前が分かり、投票用紙の調整や送付を従前より早くできたとしても)在外公館によっては「実際上不可能」と主張していました。また国は、現在実施している洋上のFAX 投票についても、送受信のたびに送信者と連絡できる措置を講じることは「現実的には不可能」と主張していました。

私たちは、具体的にどの在外公館でなぜ実施ができないのか、またFAX投票につきなぜ在外公館では実施できないのかを明らかにするよう求めました。

国はこれに対して、今回の準備書面で述べた以上のことを、現時点では主張するつもりはないとして釈明を拒絶しました。

 

また、ブラジルから日本に一時帰国中の原告による意見陳述が行われました。

意見陳述の内容はこちらです(原告意見陳述2)

 

次回期日は、12月20日(木)午後1時20分から、東京地方裁判所703号法廷で開かれます。

原告が、今回の被告から提出された書面に対し、反論を行います。この日で審理は終結するものと思われます。

 

次回も是非傍聴にお越しください。

 

第2準備書面を提出しました

2018年9月12日付で原告第2準備書面を提出しました。これは第2回期日の直後に提出したものです。

2016年に国民審査法の改正があり、任期満了の日前60日以内に当たる日又は衆議院の解散の日のいずれか早い日の翌日以降に審査に付される裁判官の氏名を通知しなければならないことになりました。国は、あたかもこの法改正を区切りとして、在外公館での国民審査実施に関し、技術的な実施可能性に変更があったかのような主張を展開していました。

しかし、国は、こうした法改正をすることはいつでも可能でした。実際、2007年には、議員立法で同様のことを可能とする法案が提出され、衆議院を通過していました。つまり、国は、在外国民審査を実施するために投票用紙の調整や印刷に時間の確保が必要であれば、いつでもこのような法改正をすることができたのです。

この準備書面では、法改正をすればいつでも実現可能であったものは、「技術的不能」とは言えないことを改めて指摘しています。

 

第2回期日が開かれました

本日、11時半から東京地方裁判所703号法廷で第2回口頭弁論期日が開かれました。

参考:第2回期日配布資料

 

被告準備書面(1)(訴状に対する反論の書面)、被告提出証拠、原告第1準備書面(答弁書と被告準備書面(1)に対する反論の書面)、原告提出証拠が提出されました。

裁判所から、国家賠償法の審査基準に関し、被告から昭和60年最判の基準が、原告から平成17年最大判の基準が主張されているが、この点は平成27年最判(待婚禁止期間に関する最高裁判決)が、両最判の基準を統合したものとして本件でも妥当すると考えるので、当事者においても平成27年最判の基準を用いて主張されたいと訴訟指揮がなされました。

また、被告代理人から、原告代理人がウェブサイトを開設し被告の主張書面をそのまま掲載しているようだが、いかがなものかと思うので、主張書面をそのまま掲載することはせず、内容を整理して記載し直すなどするよう申し入れるとの発言がありました。

申し入れの趣旨につき原告代理人より釈明を求めたところ、民事訴訟記録の謄写が関係者に限定されていることなどが踏まえられるべきであると説明がありました。

原告代理人として、憲法上保障される裁判の公開等の趣旨に照らし、被告代理人の説明には合理性がないと考え、申し入れには応じかねるとその場で回答しました。

なお、被告代理人からは、直通電話が記載されたままであるといたずら電話などの問題が生じかねないとの申し入れもありました。原告代理人としてこの点は合理性があると考え、直通電話等の記載はマスキングすることといたしました。

 

次回期日は、11月1日(木)午前11時半から、東京地方裁判所703号法廷で開かれます。

被告が原告第1準備書面に対し反論を尽くす予定です。

次回も是非傍聴にお越しください。

第1回期日に関する報道等

西日本新聞: 裁判官の国民審査、国側争う姿勢 在外邦人投票権訴訟で、東京地裁(2018年06月11日 12時22分)

最高裁裁判官の国民審査を巡り、海外に住む日本人が投票できないのは違憲だとして、米国在住の映画監督想田和弘さん(47)ら5人が、投票できる地位の確認などを国に求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、東京地裁(林俊之裁判長)で開かれ、国側は争う姿勢を示した。(以下略)

 

Japan Times:  Tokyo District Court holds first hearing on expats’ right to vote on Supreme Court justices (JUN 11, 2018)

Five Japanese living abroad claimed at the Tokyo District Court on Monday that their inability to participate in national reviews of Supreme Court justices was unconstitutional.

“I’ve always felt that voting is my right and duty,” Kazuhiro Soda, a documentary filmmaker based in New York, told the hearing.

“Even though I have a Japanese passport, I couldn’t participate in the review just because I lived in the United States. I found it frustrating and also very strange,” he added.

 

一人一票国民会議

衆議院選挙と同時に行われる最高裁裁判官国民審査につき、在外邦人が国民審査権を行使できないのは憲法に違反するとして、想田和弘さん(NY在住・映画監督)ら5人が、2018年4月12日、次回の国民審査で審査権を行使できることの確認などを求める訴えを東京地裁に起こしました。
当国民会議もかねてから主張しているとおり、国民審査は、選挙権と並ぶ国民の参政権です。
当国民会議は、この裁判に注目し、今後裁判情報をお伝えしていこうと思っています。

第1回期日が開かれました

本日、10時半から東京地方裁判所103号法廷で第1回口頭弁論期日が開かれました。

あいにくの雨となりましたが、大勢の方に傍聴にお越しいただき誠にありがとうございました。

参考:第1回期日配布資料

 

訴状、原告提出証拠、被告答弁書が訴訟法上提出されたのち、原告代理人が10分ほど口頭で訴状の趣旨を説明しました(訴状陳述)。

その後、原告代表の想田さんが今回提訴に至った経緯や問題意識を口頭で裁判官に説明しました(原告想田氏意見陳述メモ)。

次回期日は、8月23日(木)午前11時半から、東京地方裁判所703号法廷で開かれます。

被告が在外邦人に国民審査権の行使を認めないことが憲法に違反しない理由を主張する予定です。

次回も是非傍聴にお越しください。

第1回期日のお知らせ

第1回期日においては、原告の一人として想田和弘が提訴に至った経緯を伝え、また主任代理人が本訴の重要性を口頭で陳述します。終了後に説明会も予定しています。

傍聴券が必要です。傍聴を希望の方は9時50分から10時10分ころまで東京地方裁判所2番交付所(地図内)で配布予定です。2番交付所は裁判所正門内、裁判所正面に向かって右側(農水省側)です。

締め切り後すぐにコンピューターで抽選されます。

多くの方にお越しいただければ幸いです。

日時:6月11日午前10時半から

場所:東京地方裁判所103号室

寄付募集のページを修正しました

寄付募集ページの公開からわずかの期間で多くの方から寄付を頂いております。心より感謝いたします。

寄付募集のページについて、頂いた寄付に関する責任の所在を明確にするべく、タイトルに「有志」を追記し、本文内で寄付募集及び管理の責任者を「原告3名(想田、谷口、永井)」と明記しました。

今後定期的に収支をご報告いたします。

原告有志から寄付のお願い

 

 

本訴を取り上げた記事一覧

産経:海外での国民審査求め提訴 映画監督・想田和弘さんら「権利制限は違憲」

海外で暮らす日本人には最高裁裁判官国民審査の投票用紙が交付されないのは、審査権の制限で憲法に違反するとして、映画監督、想田和弘さん(47)=米国在住=ら5人が、次回の国民審査で審査権を行使できることの確認などを求める訴えを12日、東京地裁に起こした。

 

日経:海外での国民審査求め提訴 米在住の映画監督ら

 衆院選とともに実施される最高裁裁判官の国民審査に、海外に住む日本人が投票できないのは憲法に違反するとして、米国在住の映画監督、想田和弘氏(47)ら男女5人が12日、次回審査で投票できる地位の確認などを求めて東京地裁に提訴した。

訴状によると、国民審査の投票用紙を交付されず、審査権を制限されたと主張。公務員の罷免権や法の下の平等などを定めた憲法の規定に違反するとしている。

 

東京新聞:国民審査求め提訴 在外邦人の投票不可「違憲」

 海外在住の日本人が最高裁裁判官の国民審査に投票できないのは違憲だとして、米国在住の映画監督想田和弘さん(47)ら五人が十二日、次回の審査で投票できる地位にあることを確認することなどを国に求めて東京地裁に提訴した。

五人は昨年十月に国民審査が行われた時、米国とブラジルに在住。訴状で「国は国外に暮らす日本人が最高裁裁判官の審査をすることを拒んできた。国民主権に基づき国民審査を保障する憲法に違反する」と主張している。

在外邦人の選挙権を巡っては、最高裁が二〇〇五年、国政選挙で比例代表でしか投票を認めていないのは違憲と判断。法改正で衆院小選挙区と参院選挙区での投票が可能となった。

一一年には今回と同種訴訟で、東京地裁が原告の請求を退けたが、「合憲性に重大な疑義がある」と指摘している。この訴訟で国側は在外邦人に国民審査を認めない理由について、各裁判官の氏名を投票用紙に印刷してから各在外公館へ送付し、回収するのに日数がかかり「開票に間に合わせることは不可能」としていた。

(略)

 

朝日新聞:https://www.asahi.com/articles/DA3S13448490.html

テレビ朝日:http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000125003.html(リンク切れ)

ロイター:https://jp.reuters.com/article/idJP2018041101001378(リンク切れ)

 

【2018年6月12日追記】

Abema News:「在外邦人も」最高裁裁判官の国民審査めぐり映画監督ら違憲訴訟